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信玄の湯 湯村温泉
甲府駅から北へ車でおよそ10分。湯村温泉郷は大同3年(808年)に開湯したと伝わる歴史ある温泉地。戦国時代には武田信玄公の隠し湯だったと言われていることから、2021年には「信玄の湯 湯村温泉」と名称も新しくなりました。今回は、湯村に残る不思議な伝説について調べてみました。
湯村の開湯伝説
湯村の始まりは、1200年前にさかのぼります。旅の途中に湯村の地に立ち寄った弘法大師が道をふさいでいた大石を杖でついたところ、なんと地面から温泉がこんこんと湧き出したのだとか!以来、このお湯は「弘法の湯」や「杖の湯」と呼ばれ、現在もなお湧き続けているんですよ。「旅館弘法湯」のすぐ裏手には、「杖の湯跡」が残されていて、今も見ることができるのです。

鷲が傷をいやした伝説の湯
さらにもう一つ、温泉にまつわる伝説があります。昔、傷ついた鷲が地面からもくもくと上がっていた湯気に体をあてたところ、元気になって飛び立ったんだそう。その様子を見ていた人々がその場所を掘ると、熱い温泉が湧いたそうな。鷲に教えてもらった温泉ということで「鷲の湯」と呼ばれるようになったのだとか。現在は残念ながら枯れてしまったそうですが、今年8月にオープンした「旅館明治」では、今も「鷲の湯」の名前が受け継がれています。鷲というと、国の特別天然記念物に指定されているイヌワシを思い浮かべます。イヌワシは羽を広げると2mにもなる大型の猛禽類。もしかしたら、鷲の湯伝説には天狗伝説も絡んでいるのでは?と思わず考えてみたけれど、どう思いますか?

塩澤寺のお地蔵さまたち
旅館弘法湯のすぐ後ろに位置する塩澤寺(えんたくじ)。こちらも弘法大師が開いたと言われる歴史あるお寺です。毎年2月13日〜14日は「厄除地蔵尊大祭」(通称、厄地蔵さん)があり、県内外からたくさんの参拝者が訪れます。佐藤住職によると、普段から厄除け効果バツグンなお寺なんだそうですが、この2月13日正午〜14日正午の24時間はとくにご利益が増大するとのこと。なんでも、塩澤寺には2体のご本尊がいらっしゃるそうで、この24時間のみ、小さなご本尊が大きなご本尊の膝に乗り合わさるとのこと!
塩澤寺には他にもユニークなお地蔵さまがいらっしゃいます。洪水時に空中に首が浮いていたという「首浮き地蔵」、個性的過ぎるお顔が自然石に乗っている「たんきりまっちゃん」。たんきりまっちゃんに至っては、詳細不明とのことですが、モデルがいたかのようなお顔も愛称がついていることも、実はめちゃくちゃ珍しい。さらに、2008年に新しく仲間入りした「愚痴ぼやき聞き地蔵」。境内の1画には個室が設けられ、プライベートを守りつつ、こっそりと愚痴を聞いてくれますよ。
塩澤寺はいつでも参拝できるオープンなお寺なので、お地蔵さま達に会いに行ってみるのもオススメです。

湯村温泉と伝説
湯村温泉は、その良質なお湯につかるもよし、伝説や歴史に触れながら散策するもよし。宿泊はもちろん、日帰り入浴も受け付けているので、山梨県民の私もよく入りに行っています。
この冬はあなたも湯村のお湯につかりながら、伝説に思いをはせてみてはいかがでしょうか。



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PON(ぽん)。山梨県甲府市の担当ライター。山梨県のお出かけスポット、子連れスポットイベント情報、グルメ情報を主に発信するインスタグラムアカウントを運営。また、Yahooニュースエキスパート甲府市担当ライター、iibaアンバサダーとしても活躍中。